
こんにちは。
梅田・中崎町の整体×パーソナルジム Sun UPです。
「夕方になると、首から肩にかけてずっしり重い」
「マッサージに行くとその日は楽になるけれど、仕事が続くとまた戻ってしまう」
「気づくと肩に力が入ったまま、パソコンに向かっている」
デスクワークをしている女性から、こうしたご相談をよくいただきます。
肩こりの原因は一つではありませんが、海外の研究では、首や肩の痛みがある人が筋力トレーニングを続けることで、痛みが軽くなったという報告が重ねられています。マッサージなどで今のつらさを和らげることに加えて、運動を無理のない形で生活に取り入れていくことが、症状の軽減に役立つ可能性があります。
この記事では、デスクワークの肩こりと運動について研究でわかっていること、そして運動を続けやすくするための考え方をご紹介します。
※この記事は、研究の内容を一般向けに分かりやすく紹介するものです。医療的な診断や治療に代わるものではありません。強い痛みやしびれがある方、腕や手に力が入りにくい方、通院中の方は、まず医療機関にご相談ください。
1デスクワークの肩こりは、多くの女性が抱える悩みです
厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」では、病気やけがなどで自覚症状がある人の割合(入院中の人を除く、複数回答)を症状別に集計しています。女性では「腰痛」に次いで「肩こり」が2番目に多く、人口1,000人あたり105.4人が肩こりを訴えていました[1]。前回の2019年の調査では、女性の1位は肩こりでした[2]。
肩こりの感じ方や原因は、人によってさまざまです。長い時間同じ姿勢で座り続けることのほか、目の疲れ、仕事の緊張やストレス、睡眠、冷えなど、いくつかのことが重なっている場合もあります。ですから、「姿勢が悪いから」「筋力が足りないから」と一つの理由に決めつけることはできません。
ただ、パソコンに向かって同じ姿勢が長く続くと、首や肩まわりの筋肉は、少ない動きのまま働き続けることになります。こうした生活の中で、体を動かす機会そのものが少なくなっていることも、見直したいポイントの一つです。
2研究から見る、首・肩の痛みと筋力トレーニング
はじめに、言葉について一つだけお伝えします。日本でいう「肩こり」は、首から肩にかけてのこわばりや重だるさ、痛みなどを広く指す言葉です。一方、海外の研究では「首の痛み」や「首・肩の痛み」として調べられていることが多く、日本の肩こりとまったく同じものではありません。ここでご紹介する研究は、肩こりを考えるうえでの参考としてお読みください。
① 事務職の女性180人を、1年間追った研究
フィンランドで行われた研究では、慢性的な首の痛みがある25〜53歳の女性事務職180人を、3つのグループに分けて1年間経過を見ました。2つのグループは、首の筋力トレーニングや持久力トレーニングに加えて、ダンベルを使った肩や腕の運動を行いました。もう1つのグループは、ストレッチと有酸素運動を週3回行うようすすめられただけでした(3つのグループすべてに、同じすすめ方をしています)[3]。
12か月後、トレーニングをした2つのグループでは、ストレッチと有酸素運動をすすめられただけのグループと比べて、首の痛みと、痛みによる日常生活の不便さが軽くなっていました。研究者は、ストレッチや有酸素運動だけでは、筋力トレーニングに比べて効果がずっと小さかったと述べています[3]。
② パソコン作業などをする女性48人の研究
デンマークの研究では、パソコン作業のような単調な仕事をしていて、肩の上部の筋肉の慢性的な痛み(僧帽筋の筋痛)と診断された女性48人を対象に、10週間の比較が行われました。肩まわりの筋肉を鍛えるグループ、肩の力を抜いて自転車こぎをするグループ、運動をしないグループの3つです[4]。
肩まわりを鍛えたグループでは、「いちばんつらいときの痛み」の強さ(0〜100ミリの線の上で本人が評価するもの)が、トレーニングを始める前と比べて平均35ミリ、約79%下がりました。自転車こぎのグループでは、運動の直後に痛みがわずかに軽くなるだけでした[4]。
ただし、この研究の参加者は医師から筋肉の痛みと診断された女性で、人数も多くはありません。肩こりのある人すべてに、同じ変化が期待できるわけではない点にご注意ください。
③ 複数の研究をまとめた分析
首の痛みがある事務職の人を対象にした8つの研究をまとめた2017年の分析では、筋力をつける運動をした人たちは、運動をしなかった人たちに比べて、痛みが軽くなる方向に意味のある差がみられたと報告されています。一方、ストレッチや持久力の運動については、まだ研究が少なく、さらに調べる必要があるとされています[5]。
また、事務職549人を対象にした1年間の研究では、首・肩に絞った筋力トレーニングのグループだけでなく、全身を動かす運動のグループでも、運動をしないグループに比べて、首や腰などの痛みが軽くなっていました[6]。肩まわりだけでなく、体全体を動かすことにも意味があると考えられます。
マッサージや整体との付き合い方
マッサージや整体で筋肉がほぐれ、体が楽になる時間は、つらさを和らげるうえでも大切なものです。研究から見えてくるのは、どちらか一方を選ぶということではなく、症状を和らげるケアに加えて、運動や日常の過ごし方にも取り組んでいくことの大切さです。
姿勢とトレーニングの関係については、姿勢改善にトレーニングが効果的な理由でも詳しく解説しています。
3無理なく続けることが大切な理由
ここまでご紹介した研究は、どれも数週間から1年という期間、運動を続けた結果です。「続けること」について、もう少し詳しく見てみましょう。
① 変化は少しずつ、そして続けるほど積み重なる
第2章の①でご紹介したフィンランドの研究を詳しく分析した報告では、首の筋力の伸びや痛みの軽減がもっとも大きかったのは、はじめの2か月でした。そのあとも、12か月まで改善は続いていました[7]。
② 短い時間でも、決まった運動を続けた研究
週30時間以上働いていて、首や肩の痛みをよく感じている198人(うち女性174人)を対象にしたデンマークの研究があります。参加者は、ゴムチューブを使い、少しずつ負荷を上げていく肩まわりの筋力トレーニングを、1日2分または12分、週5日、10週間行いました。比較のグループは、毎週健康に関する情報を受け取るだけでした[8]。
10週間後、首・肩の痛みの強さ(0〜10の目盛り)は、比較のグループに比べて、2分のグループで1.4、12分のグループで1.9多く下がっていました[8]。
これは「どんな運動でも1日2分でよい」という意味ではありません。内容が決まっていて、負荷を少しずつ上げていくトレーニングを、週5日、10週間続けた結果です。ただ、長い時間をとれなくても、続けられる形にすることには意味がある、というヒントにはなりそうです。
③ 長く追いかけた研究からわかること
同じフィンランドの研究では、トレーニングをした女性118人を、さらに3年後まで追いかけています。3年後も、首の痛みや日常生活の不便さは、1年目の時点とほとんど変わらず、筋力もおおむね保たれていました[9]。
ただし、自宅でのトレーニングを続けていた人は大きく減っていて、どのくらい続けていたかは人によって違いました。また、この追跡はトレーニングをしたグループだけで行われ、比べるグループがありません[9]。そのため、「運動をやめても効果が続く」とまでは言えません。1年間しっかり取り組んだことが、その後の土台になっていた可能性はありますが、それを確かめるにはさらに研究が必要です。
4運動を習慣にするための3つのヒント
「続けることが大切なのは分かっているけれど、それが難しい」という方も多いと思います。習慣づくりについての研究から、ヒントをご紹介します。
① 習慣になるまでの日数は、人によって大きく違う
イギリスの研究では、96人が「朝食のあとに」のように決まったタイミングで、食事・飲み物・運動などの行動を毎日行い、12週間記録しました。分析できた人の中で、その行動が「意識しなくても自然にできる」状態に近づくまでの日数は、18日から254日と大きな幅があり、真ん中の値は66日でした[10]。
つまり「66日続ければ必ず習慣になる」というわけではなく、早く身につく人もいれば、時間がかかる人もいます。また、この研究では、1日できなかったことが、習慣づくりの流れに大きく影響することはありませんでした[10]。できない日があっても、また再開すれば大丈夫です。
② 「同じように」「シンプルに」「楽しく」
カナダで、ジムに新しく入会した111人を12週間追った研究では、この研究の参加者にとって、週4回以上の運動を6週間続けることが、運動が習慣になるための最低ラインでした。また、毎回同じように続けること、内容がシンプルであること、運動しやすい環境があること、運動を楽しいと感じることが、習慣づくりに関わっていました[11]。
この「週4回」は、ジムの入会者を対象にした研究の中での結果です。ジムに週4回通わなければいけない、という意味ではありません。大切なのは、回数よりも、自分の生活の中で「同じように続けられる形」を見つけることだと考えています。
③ 日常に取り入れやすい小さな工夫
ここからは、研究で効果を確かめたトレーニングではなく、毎日の過ごし方の工夫の例です。
- 会議が終わったとき、メールを1本送ったときなど、仕事の区切りで一度立ち上がる
- 同じ姿勢が長く続かないように、ときどき座り方を変えたり、肩や腕を動かしたりする
- 「歯みがきのあと」「帰宅して着替えたあと」など、運動をするタイミングを毎日の行動に結びつける
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、座りっぱなしの時間が長くなりすぎないように注意することや、大人は週2〜3日の筋力トレーニングを行うことがすすめられています[12]。
5Sun UPが「整える→鍛える→続ける」で肩こりに向き合う理由
Sun UPでは、肩こりに悩む方にも、次のような流れでサポートしています。なお、ここまでにご紹介した研究は、Sun UPのサービスそのものを調べたものではありません。研究から見えてきた考え方を、私たちが大切にしていることと重ねてご紹介します。
① 姿勢と動き方を確認する
はじめに、立ち姿や、歩く・しゃがむ・腕を上げるといった動き、筋力や柔軟性を確認します。同じ「肩こり」でも、体の状態は人によって違います。だからこそ、全員に同じメニューを行うことはしていません。
② 必要に応じて、整体・ストレッチで整える
固まりやすいところを、必要に応じて手技やストレッチでほぐし、体を動かしやすい状態にしてから、トレーニングに進みます。
③ トレーナーと一対一で、運動に取り組む
姿勢を支える筋肉を、今の筋力に合わせて動かしていきます。トレーナーと一対一で、どこを意識して動かすのか、正しく効いているのかを確認しながら進め、その日の体調に合わせて内容も調整します。運動が久しぶりの方でも、無理のないところから始められます。
④ 日常と運動習慣につなげる
一人ひとりの身体の状態に合わせて、日常に取り入れやすい身体の使い方や、続けやすい運動習慣につなげます。ジムで過ごす時間だけでなく、立つ・歩く・座るといった毎日の動き方を見直していくことを大切にしています。
実際に姿勢から体を整えられたお客様の変化は、お客様の変化・声でご紹介しています。
6まとめ
- 肩こりは、2022年の調査で女性が自覚する症状の2番目に多いもので、原因は一つではない
- 研究では、首・肩の痛みがある人が筋力トレーニングを続けることで、痛みの軽減が報告されている
- 研究で扱われている「首・肩の痛み」は、日本の「肩こり」とまったく同じものではなく、変化には個人差がある
- マッサージや整体などのケアに加えて、運動や日常の過ごし方にも取り組むことが大切
- 習慣になるまでの期間は人それぞれ。できない日があっても、また再開すればよい
「マッサージで楽になっても、また戻ってしまう」「運動を始めたいけれど、何から始めればいいか分からない」という方は、まずは今の体の状態を一緒に確認するところから始めてみませんか。
Sun UPの初回の美姿勢体験では、お話をうかがい、姿勢と動き方を確認したうえで、トレーニングを体験していただけます。90分のコースでは、整体もあわせて体験できます。体験の内容や当日の流れは、初回体験・はじめての方へをご覧ください。
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参考文献
- 厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」Ⅲ 世帯員の健康状況(図17 性別にみた有訴者率の上位5症状). 厚生労働省(PDF)
- 厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」Ⅲ 世帯員の健康状況(図17 性別にみた有訴者率の上位5症状). 厚生労働省(PDF)
- Ylinen J, Takala EP, Nykänen M, et al. Active neck muscle training in the treatment of chronic neck pain in women: a randomized controlled trial. JAMA. 2003;289(19):2509-2516. PubMed
- Andersen LL, Kjaer M, Søgaard K, Hansen L, Kryger AI, Sjøgaard G. Effect of two contrasting types of physical exercise on chronic neck muscle pain. Arthritis Rheum. 2008;59(1):84-91. PubMed
- Louw S, Makwela S, Manas L, Meyer L, Terblanche D, Brink Y. Effectiveness of exercise in office workers with neck pain: A systematic review and meta-analysis. S Afr J Physiother. 2017;73(1):392. PubMed
- Andersen LL, Christensen KB, Holtermann A, et al. Effect of physical exercise interventions on musculoskeletal pain in all body regions among office workers: a one-year randomized controlled trial. Man Ther. 2010;15(1):100-104. PubMed
- Ylinen JJ, Häkkinen AH, Takala EP, et al. Effects of neck muscle training in women with chronic neck pain: one-year follow-up study. J Strength Cond Res. 2006;20(1):6-13. PubMed
- Andersen LL, Saervoll CA, Mortensen OS, Poulsen OM, Hannerz H, Zebis MK. Effectiveness of small daily amounts of progressive resistance training for frequent neck/shoulder pain: randomised controlled trial. Pain. 2011;152(2):440-446. PubMed
- Ylinen J, Häkkinen A, Nykänen M, Kautiainen H, Takala EP. Neck muscle training in the treatment of chronic neck pain: a three-year follow-up study. Eura Medicophys. 2007;43(2):161-169. PubMed
- Lally P, van Jaarsveld CHM, Potts HWW, Wardle J. How are habits formed: Modelling habit formation in the real world. Eur J Soc Psychol. 2010;40(6):998-1009. DOI
- Kaushal N, Rhodes RE. Exercise habit formation in new gym members: a longitudinal study. J Behav Med. 2015;38(4):652-663. PubMed
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート:成人版(e-ヘルスネット). 厚生労働省 e-ヘルスネット
